国のデータによると、日本の住宅全体に占める持ち家の割合は約6割。60歳以上の高齢者だけで見ると約88%とほとんどの方が持ち家に住まれています。
賃貸派も増えた印象がありますが、まだまだ圧倒的に持ち家派が優勢です。それは何故なのでしょうか?今回は持ち家と賃貸のメリット・デメリットについてあらためて整理してみましょう。
持ち家のメリット
持ち家の大きなメリットは、住宅ローンの返済が終わると住居費がほとんどかからないという点でしょう。マンションだと管理費や修繕積立金などもかかりますが、戸建て住宅なら修繕費と固定資産税のみ。老後の住居費としては戸建ての場合、月2万円前後といったところでしょうか。
そして返済が終われば、家が一つの資産になります。家を売却すればまとまった資金をつくれるので、高齢者施設に入居するときの初期費用に充てることもできるでしょう。また住宅ローンを組む方は団体信用生命保険に加入されることが多いので、一家の大黒柱に万が一のことがあっても、遺された家族は住む場所に困りません。
持ち家のデメリット
反対に持ち家のデメリットはというと、やはり「引っ越しのハードルが上がる」という一言に集約されるのではないでしょうか。家を売却したり、賃貸に出したりする選択肢もありますが、なかなか気軽にできるものではありません。
転勤が多い方が持ち家を購入すると、単身赴任でご家族と離れ離れになってしまう可能性があります。また収入が下がったとき、持ち家だとローン返済の負担が大きくなってしまうので、余裕のある返済計画を立てておくことが大切です。
賃貸のメリット
賃貸派のメリットは、引っ越しのしやすさにあります。収入が減ったときに今より家賃の安い物件へ移ったり、進学や転職・転勤に合わせて便利な場所へ引っ越したりと、身軽に暮らすことができます。
これから転職や転勤の可能性が高い方、結婚や出産を控えている方など、ライフスタイルが安定していない方は賃貸のほうが気楽なのかもしれませんね。
賃貸のデメリット
賃貸のデメリットは、家賃が一生かかり続ける点。寿命はいつまでと決まっているわけではないため、老後が10年になるのか、20年、30年になるのかはわかりません。長生きすればするほど、家賃の支払いは大きく膨れ上がります。
また一つ知っておきたいのが、賃貸住宅の家賃には、家主さんの利益や空室リスクも含まれているということ。持ち家だと自分が家主なので、余計な費用は上乗せされません。そのため賃貸と持ち家で同じコストを支払うなら、持ち家のほうが広くて設備の充実した家に住めるのです。
まとめ
持ち家はある意味、自分自身を顧客とした賃貸事業ともいえます。自分が住み続けるので空室リスクがなく、入居者募集やクリーニングなどのコストもかかりません。
ただし住宅ローンを組むと言うことは、収入減などで支払えなくなるリスクを負うということ。このリスクを高いとみるか低いとみるかは、個人によって判断がわかれるところでしょう。将来の暮らし方や働き方もよく考えたうえで、持ち家か賃貸か考えることをおすすめします。