住まいの快適性を決めるひとつのポイントに「温熱環境」があります。
夏と冬の気温差が激しい日本。暑さによる熱中症や、寒さによるヒートショックなどの健康被害を防ぐためにも、なるべく省エネで効率よく冷暖房がきくようにしたいものです。そこで役に立つのが、住宅の全館空調です。
全館空調とは?
まずはそもそも全館空調とはどのようなものなのか、簡単に解説していきます。
普通の住宅では、各部屋にエアコンを設置してそれぞれ温度を調節しますよね。そのためリビングは快適でも、廊下やトイレなどは寒い・・・ということになりがちです。
そこで小屋裏などに大きな空調設備を設置して、家全体の空調を一括で管理するのが全館空調システム。24時間にわたって、住まい全体を快適な状態に保つことができます。
全館空調のメリット
温度差が少なく快適に
全館空調システムをとりいれると、リビングから寝室、トイレ、廊下、脱衣所・・・と家の中すべての室温が均一になります。
▼こんな悩みはありませんか?
ー夏ー ・夜、寝室が暑くて寝苦しい ・クローゼットのなかがムワッと暑い ・せっかくお風呂に入ったのにドライヤーで汗だくに ・2階の部屋をの冷房がなかなかきかない | ー冬ー ・リビングから廊下に出ると冷やっとする ・深夜にトイレに起きると、廊下やトイレが寒くて目が覚めてしまう ・脱衣所で服を脱ぐのが寒くて、冬のお風呂がおっくう |
家の中に温度差があると、私たちは無意識のうちにストレスを感じてしまいます。知らずしらずのうちに疲れたり、家の中でのちょっとした移動がおっくうになったり。
全館空調だとこういったストレスから解放されるというのが最大のメリットです。
健康にやさしい
最近よく「ヒートショック」という言葉を耳にしますよね。
寒暖差で血圧が急激にアップダウンすることで、血管や心臓などに負担をかける健康被害です。
脳卒中などを引き起こして命に関わったり、めまい・失神からの転倒で介護が必要になったりすることも。
全館空調であれば住まいの寒暖差が少ないので、ヒートショックのリスクを減らせます。まだ自分は若いから関係ないと思うかもしれませんが、健康に過ごすためにも、家族に介護などの負担をかけないためにも、対策されると安心ですよ。
寒い家で起こる健康被害については、こちらの記事もご覧ください。
すっきりした見た目に
全館空調にすると、各部屋にエアコンを置く必要がないので、インテリアを美しくキープできるのもメリットです。
ふだん見えない場所に大きな空調設備を設置し、あとは床下などのダクトなどを張り巡らせて、各部屋に冷気・暖気を届けます。(ただしエアコンをセントラル化する全館空調システムだと、各部屋に壁掛けエアコンが必要です。)ストーブ・ファンヒーター・扇風機などの季節モノを収納する場所もいらなくなるのもうれしいですね。
全館空調のデメリット
部屋ごとの温度調節ができない
まずデメリットとして挙げられるのが、部屋ごとにこまかく温度調整するのは難しいということ。ただし最近のシステムでは、部屋ごとに温度調整できる商品もあります。
また、故障したときには、家じゅうの冷暖房が止まってしまうというのもデメリットです。
乾燥しやすい
全館空調を取り入れた方がよくおっしゃるのが、暖房の時期は特に乾燥するということ。洗濯物を室内干しするには良いですが、リビングや寝室などは加湿器必須です。新築される際には、壁に珪藻土や漆喰など調湿効果がある素材をとりいれるのもおすすめ。またメーカーによっては、加湿機能がついている全館空調システムもあります。
全館空調で気になるコスト面は?
ここまで聞いて「全館空調にしたい!」と感じた方も多いとは思いますが、不安なのはコスト面ですよね。初期費用は高くないのか?そして家全体を温めたり冷やしたりするので、光熱費は高くならないの?という点が非常に気になるところかと思います。
次回は全館空調のコスト面について詳しく解説していきます。