日本の住宅で最も多いのが木造住宅です。木材はシロアリの大好物なので、食べられてしまわないよう予防しなければなりません。

シロアリ対策の中心は、床下に防蟻・防腐の効果がある薬剤を散布すること。しかしこれまでの薬剤は殺虫成分が揮発するものが主だったので、独特のニオイがしたり、お部屋のなかに殺虫成分が入ってきてシックハウスにつながったりと、安全性が気になるところです。

そこで今回は、自然素材で人の体にやさしい「ホウ酸」を使ったシロアリ対策についてご紹介します。

ホウ酸系のシロアリ対策とは？

ホウ酸と聞くと、ゴキブリ対策のホウ酸団子を思い出す方も多いのではないでしょうか。若い方は知らないかもしれませんが、昔はホウ酸に小麦粉などを混ぜて団子状にして、ゴキブリがいそうな場所においていました。

これと同じホウ酸を使った薬剤を住宅に使うと、シロアリの被害を強力に抑制することができます。木材を腐らせる「木材腐朽菌」という菌にも効果を発揮するので、ホウ酸処理された木材は湿気を帯びたとしても腐りにくくなります。

ペットや子どものいる家でも安心

従来の防蟻薬剤は、揮発性の有機化合物が使われています。常温でも少しずつ気体になって空気中に出ていき、家の中の空気を汚してしまいます。

しかしこういった薬剤と違って、ホウ酸は揮発しない物質です。ニオイもせず、床下の空気を循環させても室内の空気を汚しません。そのためペットや子どものいるお家でも安心して使えます。

床下のホウ酸が住んでいる人の口に入ることはまずないかと思いますが、仮に口にしたとしても毒性は食塩と同程度。コンタクトの保存液や目薬や食塩にも防腐剤として含まれている成分ということで、どのくらい安全性が高いかお分かりいただけるのではないでしょうか。

なぜシロアリを退治できるのに人体には安全なの？

なぜシロアリやゴキブリを退治できるのに、人体には安全なのか？と気になる方もいますよね。これは哺乳類と昆虫の身体のつくりに違いがあるそうです。

私たち人間や犬のような哺乳類には腎臓があるので、ホウ酸が体内に入っても短時間で排泄されます。しかしシロアリやゴキブリのような昆虫には腎臓がありませんので、ホウ酸が身体に入るとエネルギー代謝ができなくなり死に至るそうです。

分解されないので長期間効果が続く

先ほど「ホウ酸は揮発しない」と書きましたが、これは殺虫効果の持続性にも影響します。

一般的に使われている防蟻薬剤は、どんどん殺虫成分が揮発していくため、効果が5年ほどしか続きません。効果が長続きする強い薬剤はそれだけ健康にもよくないので、最大5年くらいにしているのですね。

そのため新築から5年たてば、また薬剤をまかなければなりません。費用も10～20万円くらいかかりますし、5年ごとに業者を手配するのも手間ですよね。また壁の中の柱などは再処理もできないので、新築から時間がたてばシロアリ予防効果はなくなります。

それに対しホウ酸系の薬剤は揮発分解しないため、半永久的に効果が持続します。大量の雨水で流されるなどしない限りは、再処理をしなくても効果が続くのです。

お子さんやペットの健康にもやさしく、効果も長持ちするホウ酸を使った防蟻材。大切な住まいとご家族の健康を守るためにも、検討されてはいかがでしょうか。