今は元気に暮らしていても、体力の衰えとともに少しずつ不便を感じるようになってくるものです。マイホームを建てるときには「高齢になっても安心して暮らせるか」という目線をもってみませんか。今回は部屋ごとに気を付けるポイントをご紹介します。
お風呂
お風呂は家庭内で最も事故につながりやすい場所です。安全にくつろげるよう配慮しましょう。
・安全への配慮
出入口の段差をなくす、すべりにくい床材を使う、浴槽はまたぎやすい高さに、浴槽の横に手すりをつけるなど。こういった配慮をすると、高齢の方だけでなくお子さんも安全にご入浴いただけます。
・ヒートショック対策
寒い浴室はとても危険。血圧が急に上下するので、めまいを起こして転倒したり、心筋梗塞や脳梗塞などにつながることもあります。浴室暖房機やサーモフロアで、ポカポカと暖かい浴室をつくりましょう。
・入浴のサポートがしやすい工夫
入浴の手伝いが必要なら、浴室の広さや扉の形状にも工夫を。引き戸にすると、扉を開けたままで入浴のサポートができます。
トイレ
トイレも「衣服を着脱する」「身体の向きを変える」「立つ・座る」と複雑な動きが必要な場所です。安全で使いやすいよう配慮しておくと、いつまでも自立した生活を送れます。
・トイレの位置
夜に使うことを考えると、寝室の近くにつくるのが理想的。廊下の足元をフットライトなどで照らすと、夜間の移動も安心です。
・安全への配慮
すべりにくい床材にする、足元が見えやすい照明に…など。外開き戸や引き戸にしておくと、万が一トイレで倒れたときにも助けに入りやすいです。
・使いやすさへの配慮
「立つ・座る」は、転倒の危険が大きい動作。手すりを設置すると安心です。
キッチン
体力が低下すると、段々と家事も面倒に。料理・片付け・お手入れがしやすいよう工夫しておくと、ラクにきれいなキッチンが保てます。
・すっきり片付くお気に入りのキッチンに
最近はおうちで食事をとることが多いので、お気に入りの使いやすいキッチンにしておきたいですよね。お掃除のしやすさや収納にこだわると、キレイな状態が保てます。
・サイズや動線はコンパクトに
キッチンとダイニングの距離を短くすると、配膳や片付けもラクに。キッチンの高さは、よく使う人に合わせると、無理な姿勢をとらずにすみます。
玄関
体力が落ちるなか、外出のハードルが高いと、家に閉じこもりがちに。外にでやすいよう工夫することで、外出先で人と関わったり、身体を動かしたりと良い影響があります。
・段差の解消
玄関の段差はなるべく低くしたり、必要であればスロープを設置することも。スロープは意外と広いスペースが必要なので、将来的につける予定があれば新築時に広さを確保しておくと安心です。
・手すりの設置
今はまだ手すりは必要ないという方も、補強下地だけでも入れておくと、将来手すりを設置するときにスムーズです。
高齢者の使いやすい家=みんなが使いやすい家
今はまだ元気だから配慮は必要ない、と思われる方もいるかもしれません。しかし「余計な段差がない・床がすべりにくい・家の中が寒くない・掃除しやすい」こういった家って、子どもから大人まで誰もが使いやすい家だと思いませんか?
そして何よりも大切なのが、住む方の好きな空間で、理想の生活が送れること。「インテリアにこだわりたい」「趣味の音楽が楽しめるオーディオルームをつくりたい」など、若いうちには叶えられなかった時間や空間を叶えられるのも、家づくりの醍醐味です。